今夜、メランコリックにつき。

アラサーのアンニュイな日常。

不思議な夢と体験のおはなし。

伏見稲荷 photo by おかめ


日本最古を思わせるような、力強い雰囲気の朱色の鳥居。
参道には道はなく、かわりに鳥居の下には鳥居より少し幅の広い川があった。
川の底は見えず、深さは見当もつかないし、流れは目を疑うぐらいに緩やかだ。
川の両側には川に沿って低木がびっしりと並び、鎮守の森のように木々が続く。
そのおかげで、鳥居の奥は不気味さも感じる暗闇が続き、木漏れ日すら届いていない。
こんなにも木々に覆われ、穏やかな川が流れるにも関わらず、そこには命の気配がない。ただ、深い緑と鳥居の朱色、それらを映す川のみが在った。

その景色のなかにいたのは、私と、約20年前に他界した祖母。
祖母が見せるいつもの優しい笑顔と、あたたかな声で言う「おいで」に、私は躊躇いもせず川に足を踏み入れる。特に冷たくも温かくもなく、身に着けていた服を気にすることもなく、どっぷりと肩まで身体を沈める。
やや朱色が剥げた鳥居の下で、その奥をじっと目を凝らす。
いったい何を祀っている神社なのだろう?どこに本殿があるのだろう?と疑問に感じながら、暗闇の向こうを見つめた。
川には蔓や葉が揺られ、私と祖母以外にも人々がいる事に気が付いた。
怖がるわけでも、不思議そうにするわけでもなく、誰もが穏やかな雰囲気で、まるでリラックスしながら浮いている。
なかには水着と浮き輪で楽しそうに泳いでいるおかっぱの女の子、幼少期の私のような子もいた。
とても幸せそうに、家族に手を伸ばしていた。
それを見て、この川の奥は恐ろしい場所に続くのではないのだと感じた。
よく見れば、川の流れに揺れる蔓には小さな花が咲いている。
よく見れば、その川で泳ぐ人々は、私や祖母を含め、ただ幸せを放っている。
朱色の鳥居をくぐろうとした時、川を覆う木々たちを割くように、黄金の菩薩像が空を舞った。
それを私は、目を丸くして眺めていた。
あまりに巨大で、あまりに美しくて。
それからすぐに川にいる人々が流れに漂い始めた。というより、川に流れが生まれた。
それまで蔓や葉を揺らす程度の流れしかなかった川は、瞬く間に人々を運ぶ強さをもった流れに変わり、私も祖母も周囲の人々もそれに身を委ね、鳥居の奥の暗闇へと運ばれていった。

鳥居の奥はあれだけ真っ暗だったのに、流れのまま目に映る景色はとても美しい空だった。
夕焼けか、朝焼けか。たぶん、朝焼け。
淡い紫に紺色に水色に橙色にピンク色……と、繊細なグラデーションが空に広がり、綿あめを引き伸ばしたような、ふんわりとした薄く白い雲が浮かぶ。
それは、病室の窓から祖母と最後に眺めた空と重なった。
温泉に浸かっているみたいに身体を川に預け、柔らかな色彩の空を見上げながら、愛しい祖母と過ごすその時間は最高に幸せという言葉以外見当たらない。
あの時、病室で眺めた空ほど美しい空の色を私は知らない。
その次に美しかった空は、父が亡くなって骨となった日の雨上がりの夕暮れ。
あんな悲しみ、こんな苦しみ、ため込んだ怒り、誰かを思い吞み込み続けた言葉、自分の奥底から湧き出る凄まじい負の感情と、それに支配される自分自身……そしてその全てから解放されたい、消えてしまいたいと願った事。それらも全部許せるぐらいに、私にとってその時間は幸せに満ちていた。
川はやがて、近代的な建築の駅に私を運ぶ。
さっきまでの不気味な暗闇に覆われた森も、そこにある鳥居も、参道となった川も、巨大な黄金の仏様の像も、何一つとして疑問と思わず、全てを当たり前と受け入れていた。
ただ、祖母だけが私に手を振って、私を見送った事だけが私の胸を強く締め付けた。
また、連れて行ってはくれないのかと、心の奥底から言い放ちたかった。
あぁ、またおばぁちゃんは私を守ってくれたんだなぁと言い聞かせて、私は階段を勢いよく駆け上がる。
気づけば服も乾き、景色も日常の見慣れた場所だった。

目が覚めて、泣いていた。
怖かったのか、嫌だったのか、嬉しかったのか、なんなのか。
この夢を見る前に一度目が覚めていた。声がした。女の人の声。
はっきりと何かを私に言っていた。声の場所は部屋の中だった。
引っ越し仕立ての家で、片付けも進まない家で、仕方なく私のシングルベッドで娘を隣に眠っていた。
夜中の何時かは覚えていない。
女の人は何度も何度も同じことを私に言い続けていた。
身体は、金縛りになっていた。いつもは指先から動かしたらだいたい動くのに、この日はぴくりとも動けなかった。余程疲れが溜まっているのだと言い聞かせた。
金縛りも何度も調べて、脳の錯覚やろ~って思っていても怖い。
15年ほど前、トイレに足を向けて昼寝をしていたら、金縛りにあって、トイレに向かって引きずられていく感覚を体験して以来、金縛りは怖い。
私は霊的なものは見えないし(体験はちらほらあるけれど)幽霊の類はあまり怖くない。
ただ、昔から、霊が見える人、特に守護霊が見える人には口をそろえて言われることがあった。

「おばぁちゃんが守ってくれてて、めっちゃ強い」

と。
一人とか二人じゃなく、占いの館とか、守護霊を専門に見てる占い師の友人とか、守護霊が見えるらしいカップルとか。私は見えへんねんけど。
守護霊の存在については、肯定も否定もって感じではあるけれど、おばぁちゃんが守ってくれていると言われれば悪い気はしない。嬉しい。心強い。

私の家は、数年前から不幸が続いている。
まだ若い身内もいれば、愛猫や、父。そしてこの6月末に父方の祖母が。
この3年で愛猫を含め5人だ。愛猫を覗けば、全て父方だ。
あまりに続きすぎて、それが自分に近づいてきている恐怖心があった。
母から電話が来たら、それは、身内や近しい人・親しい人の訃報じゃないかと、毎回びくびくと怯えていた。
父の死以来、親族間のトラブル…いや、嫌がらせで、私は実家をも失った。
おかげで私は、家族とは?身内とは?親族とは?みたいな事をとても考えた。
親戚が母に文句をつける為に盾にしている宗教も、正しい知識をつけて守らなければと思った。
親戚が母や私たちにする事は、仏様の教えではいったい何になるのかを、真っ向から彼らに問うてやりたいと思った。
それほどに信仰心をというならば、あなた達がとる言動は、それに反していないのかと。
ただ、私は無知で無力だ。
ただ弱っていく母を、矢面に立つ弟を、サポートすることで精いっぱい。

祖母が亡くなってから、私は昔からいつも祖母の所にいきたいと思い続けている。
でも、まるで、そうはさせないとおばぁちゃんが止めているみたいに、その願望が高まった時に限って何かがおきる。
その都度、まだ私はそっちにいったらあかんのやと思わされる。
祖母は強かった。
余命を宣告され「この三日が山です」といわれた所、そこをこえ半年も頑張った。
その間、祖母は恐らく三途の川を渡ろうとしたのだろうか、その光景を話してくれた。

花がいっぱい咲いた川で、川の向こうにばぁさんがね、おいでおいでって言うのよ。
久しぶりにばぁさんに会いたいって思ってんけど、ゆきの声がしたのよ。
目開けたら、ゆきちゃん。来てくれてありがとう。
もうね、いっぱいのお花畑、きれいやったのよ。

って、もうあまり出ない声で話してくれた。
最期、反応のなくなった祖母の手をぎゅっと握って、おばぁちゃんおばぁちゃんと呼び続けたら、その手が強く私の手を握り返した。そして、逝ってしまった。
たくさんのお花に囲まれた川を渡ってしまった。
私の人生において、こんなに辛い日は、他にない。
上手く生きられないと実感する度、おばぁちゃんを思い出す。
そして私は弱いから、すぐにおばぁちゃんの所にいきたがる。
けれど、おばぁちゃんはそれを許さない。
だから、私は色々な人に囲まれて支えられて、わが子に恵まれて、愛鳥に全力の愛を日々贈られているのかなぁと思っている。
私が諦めないように、命を育むように、穏やかさと優しさを失わないように。

あの夢の日、私は、実は連れていかれそうになっていたのかなぁなんて思っていた。
それを、おばぁちゃんが助けてくれたのかなぁなんて。
すごく後出しになるけれど、実はその夢には亡くなった父も少しいてた。
お父さんとおばぁちゃんが私が川渡らんようにしたんかなぁって。
実際に私はとても弱っていた。
身体が異常に疲れやすく、感情が消える事も多く、まるでうつ状態だった。
思考や体が何かに支配されているみたいに、自分のものじゃないなぁと思うぐらい、心身の様子がおかしいと感じていた。実は自分の命の炎が、小さくなっている実感があったから、もしかして、次は私が迎えに来られる番なのかなぁなんて正直感じていた。
そしてその夢を見て、そこからお寺にも行くようになった。
夢の中で金色の仏様も、きっと助けてくれたのだと思ったから。


っという、見た夢と体験のお話でした。
しかし夢って不思議よね!
夢分析とか夢占いとか、無意識やら願望やら抑えつけた気持ちとかが現れるっていう。
私、なかなか面白い夢をたくさん見るからね!
モンハンのラージャンみたいなやつにめっちゃ追いかけられる夢とか
いつも決まった空港から決まったルートでロケットに乗ってどっか行くとか
エレベーターが落ちる夢とか(これはエレベーター恐怖症やからかな)
そのエレベーターも最初はね、よくある雑居ビルのエレベーターとかで、それも「あぁこれは落ちるわ」って思いながら乗る事が多くて、やっぱり落ちるねんけど
もうわかってるから。落ちるの。ちゃんと対策とって乗るから、無事なんよね。
で、最近の夢に出てくるエレベーターは超高層。
それも落ちるからね~。たまに逆で下から上にいくのに止まらなくて建物突っ切って空までいってからの落下パターンもある。
最近の新パターンは、私が乗っていない隣のエレベーターが落下してて「あぁ~おちてもた」って冷静に見てるパターンね!
おかげでリアルエレベーターはわりと乗れるようになってきた。
他にも、俳優さんが亡くなる数日前にね、その人が亡くなる夢とか見たり。
わが子が生まれる前、性別が分からない時に、私と祖母と祖父とお母さんとお父さんとで赤ちゃんを囲んでる夢を見た。
ピンクのおくるみで、「可愛い女の子ね」って、めっちゃ穏やかで幸せな夢。
いつも私の見る夢はフルカラー!!
私視点もあれば、神の視点の時もある。
朝起きたら、寝ぼけた頭で夢占いサイト見るの、ちょっと楽しいやんね。笑
あんまりしないけど、どうしても気になる夢の時はしてまうかも。
もちろんエロい夢を見た時も調べるけど、だいたい欲求不満って予想通りの結果になるよね!笑


おわり!